田代元湯

明治時代、演習のため冬に八甲田山横断を試みた青森の歩兵連隊が雪道に迷って遭難したことはよく知られています。その連隊が宿泊地として目指していたのがこの田代元湯です。遭難したのは田代元湯から２ｋｍほどのところ。わずか２ｋｍ、されど冬山の２ｋｍはかなりのものだったと想像できるようなところです。 　 田代元湯には以前「やまだ館」という宿がありました。初めて行ったときは、おばあちゃんがいて自炊のみ受け付けていましたが、今は廃業し、おばあちゃんもいなくなってしまいました。湯船のみが残っています。でも、地元の愛好家の方々でしょうか、掃除などしてあり、気持ちよく湯に浸かることができました。

湯船もそのまま残っていました。こちらは内湯。赤さび色の湯で、湯に浸かると赤い湯の花が舞い散りました。ちょっと熱めの湯でした。

内湯のすぐ横にある露天風呂です。こちらは白っぽく濁った湯です。そんなに熱くもなく、のんびりできます。

離れたところにある岩露天風呂です。川のすぐ横にあり、しかも湯も熱くないので、長湯してしまいました。湯は白っぽい緑色をしています。川の流れを聞きながら誰もいないところでのんびりするのはとても気持ちよかったですが、八甲田山の悲劇をちらりと思い出し、複雑な気持ちになりました。 　 このひっそりと湧く秘湯も数年後にはダム建設のために沈んでしまうとか。体験するなら今のうちかも。

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